ふたば☆戦争(2006.7.25) 「いっちゃんは自分がどうして壱哉という名前になったか、知っている?」 「『何でも一になれっ! 一やでっ!』て関西系の親父が癖で言った時にそうなった。とか、ふざけたデマなら聞いてるけど? ちなみに、親父は生粋の江戸っ子」 「……そんなのってないわ。ひどい嘘ね」 嘘の程度の低さにか、子供に嘘を吐く親へか。双葉は拗ねたように口を尖らせた。登校途中にふと出た話題。さぁ、戦争の始まりだ。 学校へ行く、となれば当然ながら本日も二人して制服姿だ。双葉は、何だか派手なクリップで長い髪を結い上げている。俺はいつも通り。 「双葉は何で双葉なんだ?」 「それが教えてくれないの。いっちゃんが知っていたら教えて欲しくて。どうして私は双葉なの?」 知る訳ないだろ。とは言わない。双葉を傷付ける言葉は厳禁。知らない場合は適当にこうなのでは? と優しく返せ。これはファンクラブのお約束らしい。しかし、俺はファンクラブとは関係がない。ばっちり俺流で返してやる。 「あれは言えないだろうな」 にやりと意味深な笑顔。双葉は不安げな顔をする。 「自分の娘が、生まれた瞬間頭に葉っぱを生やしていたなんて、口が裂けても言えないだろう。お前は髪より先に『二葉』を生やしていたんだ。だから双葉」 「……そんなっ嘘よ〜っ」 涙の幻覚を引き連れて、双葉は俺より数分早く学校へ駆け込んだ。髪留めのクリップに反射する朝日が眩しいぜ。 ……その日の内に、双葉の友達数人から「またいじめたの? 仲が良いやら悪いやら」とからかわれた。そう、あの後、双葉は鏡の前で髪を分けては「二葉」を捜していたらしい。頭に水でも掛けたろか。 ☆ 本日の試合結果。ふたば(幻の葉)勝利。 -レッツ☆ウォーtop- |